トムの勉強ノート

現役早大生によるなんでもブログ。日々の雑念を書き連ねる。

海外ドラマ ブラックミラー シーズン1「1500万メリット」込められた意味を考察!

まず、ブラックミラーというドラマは1話完結型で、社会風刺のきいたSFスリラー作品だ。1話1話に現代社会への皮肉が痛烈に含まれており、深く考えさせられる。本記事では制作者のメッセージや込められた社会問題を考察していこうと思う。

 

今回はそのシーズン2第2話の「1500万メリット」について感想を書いていく。

 

 

 

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ブラックミラー 1500万メリット

1.あらすじ

極度の管理社会で暮らす人々の唯一の脱出手段はオーディション番組に出演し、スターになること。しかし優勝者には予期せぬ残酷な状況が待っていた。

このエピソードを見ていない人はまったくわからないと思うし説明をしても長くなるので、ここからは見ているテイで話していくのでご了承願いたい。

 

2.考察

1.大量消費社会への警鐘

現代社会は消費に満ち溢れている。食べ物や飲み物、服や家具、果ては音楽からゲームまであらゆるものが消費対象だ。だが、今作で描かれる消費対象は「ひと」だ。

今作の中では、ペダルをこぎ続ける生活から抜け出すにはオーディション番組に出場し、認めてもらうしかない。では何を認めてもらうのか。それは歌声だったり、スピーチ能力だったりする。だが1つの言葉で表すならそれは「希少性」だ。人は常人が持ってない物を持っている人を評価する。芸能人がいい例だろう。ルックス、ワードセンスなど希少価値の高いものを持っていると売れたりする。そして、そういう人たちが出ている映画やテレビ番組という形で我々一般人は彼らを消費する。本作はそういった「ひと」の消費の過激化に警鐘を鳴らしているのではないか。

「ひと」の消費のいき過ぎは人をもののように扱ってしまう事態を引き起こす。まるで無機質で意思がなく、例えば、歌手だったら歌うためだけの存在だと大衆は認知する。僕たちは芸能人や歌手を人間としてではなく、消費対象という風にとらえてしまっていないだろうか。彼らはロボットではない。芸能人である以前に人なのだ。それを忘れてしまうばかりに彼らのパフォーマンスに対し、度の過ぎた批判を浴びせる。これは「ひと」を消費対象としてしまっている好例だ。もちろん芸能人だけではなく、スポーツ選手や政治家など例を挙げれば枚挙にいとまがないだろう。

本作内でも、へたくそな参加者にはアバターから容赦なく罵声が飛ぶ。現代社会の縮図だ。だが、残念なことにラストシーンでは、人が人を消費するという不条理に声を上げた人物である主人公ビングが、自分から消費対象になってしまうのだが…

 

2.本物と偽物

主人公ビングは劇中でこんなセリフを述べる。

俺たちは偽物しか知らない。それを買うことでしか自己表現できない。1番の夢はアバターに帽子を買うこと。この世にありもしないクソ妄想を買うだけ。(中略)無意味なライトを灯すため俺たちはマシンをこぎ続ける。その先は?その先に何がある。小さい箱と画面が少しマシになるだけだ。ふざけんな!(中略)俺が見つけた本物をよくも奪いやがったな!…

まずビングの言う偽物とはなんだろう。僕はおそらくバーチャル世界のことだと思う。僕たちはインターネットを毎日のように使う。調べ物をするため、SNSをするため、ユーチューブを見るため…バーチャル世界には不足しているものは何もない。友達とも連絡ができるし、恋人とも電話ができるし、世界のどこへだってグーグルアースで飛んでいける。だがそれらはすべて偽物だ。それらは液晶粒子の配置でしか、スマートフォンから出る電子音でしかないのだ。世界中の人々は僕を含め1日の多くを偽物を見て過ごしている。これをどうしていいことだと言えようか。

 

逆に本物は現実世界だろう。特にビングの言う本物とは管理社会の中で見つけた想い人アビだろう。だがアビはオーディションのせいでポルノの世界に半強制的に入れられてしまう。ビングがペダルを漕ぎ続ける人生の中で見つけたアビという本物の存在をオーディションによって破壊されてしまったのだ。ビングが激怒するのも当然のことだろう。

話を戻す。今作のメッセージの一つはバーチャル世界という偽物に依存している現代社会への警鐘だったのだろう。もっと現実、リアルに目を向け、その重要性を理解し、本物に触れる時間を多くしてほしい。そう伝えたかったのではないだろうか。

 

3.まとめ

今作「1500万メリット」は現代の大量消費社会、特に人による人の消費と、バーチャル世界に依存している現状に対する警鐘が、奇抜な設定を通して伝わる良作であったと思う。まだブラックミラーを見たことがないという方はこれをきっかけにぜひ見てほしい。シーズン1の「国歌」はなかなかのトラウマを作ってしまうが…

 

また次回!!